

講演会のあとで行われる質疑応答で次のような現象をよく見かけます。質問者は立ち上がってまず「本日はたいへん有益なお話を承り、非常によい勉強をさせていただきました。先生のお話を承りながらまことに目から鱗が落ちるような思いがいたしました。……」などと言います。講演者は自分の講演に対する賛辞を呈するために立ち上がってくれたのかと思っていると、「ところで、一、二ご質問がございますが。」という言葉があり、あとは痛烈な批判が述べられたりすることがよくあります。つまり、始めの部分は言葉交わしなのです。話者はただ、「私はあなたを憎んではいませんよ。だからこれから言うことはあなたへの個人的な恨みではありません」という自分の感情を訴えているのです。この部分も英語ではふつうは言葉交わしとしては用いませんから、英語に直すと誤解を招くおそれがあります。
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